にっこりんファトワー

当ブログに対する無断閲覧に強く抗議します。

ネットワークビジネスと現代病

 最近、自分の周囲でネットワークビジネスにハマる人間が多い。それもたいてい環○という集団である。有名どころのアムウェイとは違い、最近ようやく話題になり始めてきた団体だ。

 

 どういう団体か簡単に言うと、起業をエサに若者を集めて洗脳し、セミナーの参加費や先輩の"ビジネス"(大抵は先輩が売る商品の購入か、経営する居酒屋での飲み会主催)などの名目で月15万の上納金を納めさせるという手口である。手当たりしだいに勧誘するのではなく、団体名を明かさずに合コンなどを開き、とにかく大量の人間と会って適正のある者を探すことが特徴である。

 

 構成員にはシェアハウスで集団生活をさせ、正社員であれば辞めさせて派遣社員になるよう説得し、団体への依存度を高めるとともに私生活まで管理下に置くのである。
 ここでは団体の批判をするつもりはないので詳しくは述べないが、この方の記事が非常に分かりやすく面白いので気になる方は是非。

note.com

 

 さて、同団体の構成員となった私の元同級生や同僚を見ていると、どうも本当に"ビジネス"を興したかったり金が欲しかったりするのではなく、もっと別の理由で動いていそうな印象を受ける。もともと彼らは向上心に燃えるようなタイプではなかったはずなのだ。

 

 多分、彼らを突き動かすものは焦りや劣等感だろうと思う。
自由主義・資本主義が当たり前となり、人生の可能性がほぼ無限に広がった中で、何者にもなれない自分に焦りを感じるのだ。SNSなんかを開けば可能性をモノにして成功した同世代の人間が嫌でも目に入る。
 しかし自分には何かを成し遂げる能力も無いし、恐らく本気で努力しようとするやる気すら無い。そんな現実から目をそらすために、分かりやすいマニュアルやロードマップを示してくれるネットワークビジネスは渡りに船だろう。自分自身による思考を経ることなく、目の前のスライムを倒せばレベルが上っていくように、きっと"何かすごい人間"に向かって努力している気になれるのだ。


 しかし彼らはもっと闇の深い"ビジネス"の餌食となり、目が覚めたときには結局社会に通用するスキルも身につかず堅実なキャリアも無いアラサーが出来上がるのである。
 若年層に蔓延する孤独感もこんなものが流行る主な原因であろう。他人に踏み込まないことが善とされ人間関係が希薄になった現代で、組織に所属して互いの深いところまで認め合える(と思える)場の魅力は十分理解できる。


 上で挙げた記事でも書かれていたが、こういったネットワークビジネスはこれまで新興宗教が担っていた役割を本当にすっかり引き受けている。焦りに劣等感、孤独感と、流行りの現代病の罹患者を上手いことキャッチしているのである。

 

 環○にハマったある知り合いは、本当に大事にしたい数人に対しては勧誘活動をしていないという。そして仕事を辞めて活動に専念した元同僚は、気にかけてくれていた先輩に何の連絡もしなかったらしい。
金欲にまみれた団体なんかに入れ込むより、まず自然にできた人間関係を大事にしてはどうかと思う。

 

Copyright ©にっこりんアーカイブ2020 All rights reserved.